猫はもともと砂漠地帯に暮らしていた完全肉食動物(真性肉食動物)です。自然界ではネズミや鳥などの小動物を捕食して生きてきました。そのため、私たちが室内で飼っている猫にも、本来の食性に合わせた食事のバランスが求められます。
タンパク質は猫の主食
猫にとって最も重要な栄養素は動物性タンパク質です。筋肉、臓器、被毛、皮膚の維持、さらには酵素やホルモンの合成にも欠かせません。
■ どれくらい必要?
AAFCO(米国飼料検査官協会)の基準によれば、成猫には最低でもタンパク質26%以上(乾物基準)が必要とされています。しかし、実際には30~50%前後のタンパク質が望ましいとされています。
特に以下のような理由から、犬よりも高いタンパク質要求量があります:
- 猫はアミノ酸の「タウリン」や「アルギニン」を体内で合成できない
- 肝臓が常にアミノ酸を分解しているため、タンパク質を多く必要とする
穀類・野菜・芋類は必要か?
猫の祖先には穀物を消化する能力がほとんどありませんでしたが、飼い猫になってから数千年、多少は炭水化物に適応してきたともいわれています。ただし、穀物や野菜は猫にとって「必須」ではありません。
■ 穀物・野菜・芋類が不要な理由
- 消化酵素(アミラーゼ)が唾液に含まれておらず、炭水化物の消化が苦手
- タンパク質に比べて栄養吸収効率が悪い
- 野菜に含まれるセルロースは、ほぼ消化されない
- 芋類(じゃがいも、さつまいも)なども高炭水化物で、肥満や血糖値の上昇の原因になりやすい
■ それでも少量なら「補助」として有用
完全に不要かというと、そうとも言い切れません。以下のようなメリットもあります:
- 野菜(かぼちゃ、ブロッコリーなど):食物繊維源として腸内環境を整える役割
- 穀類(玄米など):ビタミンB群や食物繊維を補う目的で極少量
- 芋類:アレルギー対策フードの一部に使われることもあり、穏やかなエネルギー源として機能
■ どれくらいなら適量?
全体の食事バランスで考えると、以下のような構成が理想的です:
成分カテゴリ | 理想的な割合(乾物基準) |
---|---|
動物性タンパク質 | 50~70% |
動物性脂肪 | 20~30% |
炭水化物(穀類・野菜・芋類など) | 0~10% |
つまり、あくまでも主役は「肉・魚」などの動物性原料。穀類や野菜類は補助的な位置づけで、ごく少量で十分なのです。
まとめ
猫の健康を支える食事の基本は、「高タンパク・低炭水化物」です。穀物や野菜は猫にとって主食ではありませんが、体調や目的に応じて少量を加えることは可能です。手作りごはんを始める際には、しっかりと栄養設計を行い、愛猫の体調を観察しながら与えていきましょう。