猫は本来、自然界では肉や魚などの動物性たんぱく質を主な栄養源として生きてきた「完全な肉食動物」です。そのため、炭水化物をはじめとする植物性の食材が猫にとって本当に必要なのか、疑問に思われる方も多いかもしれません。
猫に炭水化物は必須ではない。
実際、猫は炭水化物の消化に特化した体のつくりにはなっていません。たとえば、唾液に炭水化物を分解するアミラーゼという酵素を持たず、小腸での糖の吸収力も犬より低いことがわかっています。また、肝臓にはブドウ糖を効率的に処理するための「グルコキナーゼ」という酵素がほとんど存在しておらず、常に体内でたんぱく質を材料にしてブドウ糖を作り出す(糖新生)という仕組みでエネルギーを得ています。つまり、猫の体は「炭水化物をわざわざ食べなくても、たんぱく質から必要な糖をまかなえる」ようにできているのです。これが、「猫に炭水化物は必須ではない」とされる理由です。
炭水化物は少量であれば問題ないが必要ではない
では、炭水化物を一切あげてはいけないのでしょうか? 答えは「少量であれば問題ないが、必要ではない」です。実際に市販のキャットフードには、製造の都合上ある程度の穀類やイモ類が使われていますが、これらが猫の健康に直接悪影響を与えるというわけではありません。ただし、炭水化物の量が多すぎると肥満や糖尿病のリスクが高まることは研究でも指摘されています。
肉や魚を主軸とした食事を。穀類や野菜は必要最小限に
猫は自分の本能で栄養バランスを取る傾向があり、たんぱく質の多い食事を好むという研究結果もあります。したがって、飼い猫の食事としては、主軸を肉や魚に置きつつ、炭水化物を必要最小限にとどめるのが理想的です。野菜や穀類は「主食」ではなく、「あくまで補助的な役割」として捉えるとよいでしょう。
参考文献
National Library of Medicine『Cats and Carbohydrates: The Carnivore Fantasy?』 (最終確認日: 2025年6月22日)
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC5753635/